2013年11月14日木曜日

【イギリス説話】ヘルラ王【浦島太郎類話】

おそらくブリテン島がアングロサクソン人に征服される前の、ケルト人が支配していたころのお話。


古代ブリテンにヘルラ王という有力な王様が居た。

ヘルラ王がある日狩りに出かけたところ、山羊に乗った小人(ピグミー)に出会った。
小人は人間の半分くらいの背丈で、頭がデカく、赤いヒゲを生やしていた。

小人は美しくはなかったが、丁寧な言葉づかいで自分が小人の王であると名乗り、1年後にヘルラ王がフランス王女と結婚するという予言を述べた。

その翌日、フランスの王から使者が来訪し、ヘルラ王にフランス王女を嫁がせたいと言ってきた。
小人の王の予言通りに1年後、二人は結ばれたのだ。

婚礼の祝宴には小人の王がたくさんの従者を連れて訪れた。
彼らが持参した素晴らしいワインや御馳走の数々に、王や王妃も大変満足したものだった。

宴も終わり、去り際に小人の王は言った。
「ヘルラ王よ。お願いがあります。私も1年後に結婚するので、是非私がしたようにあなたも私の結婚を祝いに来てください」


ヘルラ王は約束を忘れなかった。
1年を通じてこの友人に報いるためにヘルラ王は素晴らしい贈物を集めた。

1年が経ち、その日が来ると小人の王が迎えに訪れたので、ヘルラ王は贈物を騎士たちに持たせて小人の国へと旅立った。

小人の国の入り口は暗い洞窟の奥にあり、進んでいくと緑の草原が広がっていた。
そこには大きな宮殿がそびえていて、ヘルラ王と騎士の一行は小人の王の案内で宮殿に導かれていった。

宮殿では三日三晩におよんで華やかな婚礼の祝宴が催され、一行は大変楽しく過ごした。
やがて宴も終わると、小人の王はヘルラ王にたくさんのお返しの贈物をくれた。

別れの時、小人の王はヘルラ王にさらに小さな猟犬を渡し、
「王よ、この猟犬が馬の鞍から地面に飛び降りるまで、馬から下りてはなりません」
と付け加えた。

そして王と騎士の一行は小人の国を離れ、元の世界へと帰ってきた。

そして通りがかりの農夫に話しかけてみるとどうも様子がおかしい。
「うわー旦那はやけに古いウェールズ語を話すね。
わしらは200年前にこのブリテン島を征服したサクソン人だよ。
え、ヘルラ王?ずっと昔にそんな名前の王様が居たって話は聞いたことあるだよ。
なんでも洞窟に入ってそのまま出てこなかったらしいよ」

こう農夫が言うのを聞いて何人かの騎士が慌てて馬を降りた。
するとなんということでしょう。地面に足が着いたとたん長い年月が降りかかってきたのか、チリと化して消滅してしまった。ホラーw

王は他の騎士たちに馬から下りるなと命じて、馬を駆けて行った。


それからというもの、イギリスではヘルラ王と騎士の一行が狂ったように馬を駆る姿が時々目撃されるそうだ。
一行は猟犬が馬から飛び降りるのを待っているが、犬は決して飛び降りないのだ。
おそらく審判の日(キリスト教における世界の最後の日)まで下りないだろうと言われている。

『ワイルドハント』ペーテル・ニコライ・アルボ(Wikipediaより引用)


なんだかフライングダッチマンを連想しちゃいそうなお話。
小人王は何の恨みがあってこんな真似をw小人めwぐう畜すぎww
西洋版「百鬼夜行」とも言える彼らは、ヘンリー2世の治世に1154年に詳しい目撃談が残されている。


〈参考資料〉

中世ヨーロッパの説話―東と西の出会い (中公文庫)
フリー百科事典Wikipedia
円環伝承 ~神話・民話・雑学のサイト~

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