2014年1月21日火曜日

【日本の妖怪】旧鼠(きゅうそ)

旧鼠とは古いネズミ。ネズミが歳を取って齧歯類から妖怪にジョブチェンジしたものと思われます。

江戸時代に書かれた『絵本百物語』によれば、室町時代の文明年間(1469~1486年)、出羽国(現在の山形県と秋田県)の那曾和太郎(なそのわたろう)さんちの馬小屋にでかいネズミが棲み付いた。
このネズミは那曾家の飼い猫ともなぜか仲良くなり一緒に遊んだりする。
しかし猫の方は5匹の子猫を遺して死んでしまう。
ネズミは孤児となった子猫たちを大きくなるまで育てたのだそうな。

後の江戸時代にこの地を訪れた松尾芭蕉はこの話を聞き、「逆に猫がネズミを育てた話もあるよ」と述べている。

また大和国(現在の奈良県)にいた旧鼠は上の美談とは反対に、妖怪化する前は猫に虐げられた恨みを晴らすかのように猫を喰っていたと言われている。まさに階級闘争w

竹原春泉画『絵本百物語』より「旧鼠」(Wikipediaより引用)

挿絵は大きなネズミが子猫をくわえている様子が描かれているが、捕食しているとも、育児をしているとも解釈できるね。


同じく江戸時代の『翁草』にも旧鼠の記述があり、宝暦年間(1751~1763年)の初め頃、名古屋で夜な夜な旧鼠が現れて行灯の油を舐め取って消してしまうと言うゆゆしきエネルギー問題が発生した。
人々は猫を使って旧鼠を退治しようとするも、旧鼠が強すぎて猫は返り討ちにあってしまう。
困った人々はさらに強い猫を探して連れて来るも結果は同じだった。
「窮鼠(きゅうそ、追い詰められたネズミ)、猫を噛む」のことわざにちなんだ語呂合わせなのか大ネズミは「旧鼠」と呼ばれたとか。
結局解決してないみたいだけど大丈夫なのか名古屋。名古屋の愛猫家は気を付けて!TwitterのRTで拡散していいよ。


また香川県に伝わる民話では、魚を盗んだ猫が漁師からしばかれていたところをある坊さんが救った。
すると猫が恩返しとして、坊さんが住んでいる寺に7貫(約26㎏)の旧鼠が住みついていて坊さんの命を狙っているよと警告し、仲間の猫を集めて旧鼠を退治したそうな。


江戸時代の『三州奇談』に「妖鼠(ようそ)」なる類話が載っている。
越中国(現在の富山県)の五社村と道明村の間に墓場があり、そこに妖鼠が棲み付いて周囲の動物を喰いまくるという地域の生態系を破壊せんとする狼藉を働いておりました。
安永7年(1778年)、五社村の伊兵衛なる力自慢の若者がこの墓場を通りかかった際に妖鼠に襲われ、伊兵衛はさんざん噛みつかれながらも妖鼠を締め上げて見事討ち取った。
妖鼠は体長2尺(約60cm)、尻尾は2尺(約60cm)の大きさだったそうな。


この旧鼠のメディアへの露出としては、京極夏彦の小説『前巷説百物語』、アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』、漫画『ぬらりひょんの孫』、MMORPG『信長の野望Online』、ソーシャルゲーム『あやかし陰陽録』などに出演しているみたい。





〈参考資料〉


 
フリー百科事典Wikipedia

死せる魂の会


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